薫11話

【十一話】

「通常はクリトリスを作る時にはですね、亀頭の裏側の一部を切り取ってクリトリスの代用をするのですが、最近は少数なんですがね、亀頭をそのままの形でクリトリスとして残す方がいらっしゃるようです。 結局のところ性転換で全ての性感を実質的には失いますからね。 形だけクリトリスと言っても痛い冷たい程度ではねぇ~♪ 性転換して性感を全て失うなら、敢て残すという人が増えているのは事実なんですよ。 完全に女性器の形をしていても結局は匂いも味も男性のままですからね~♪ まして、性転換した方と交際したり性交渉を持たれる方は実際には同性愛者に近い理性の持ち主です。 でから私は医師としてではなく、人間個人としては亀頭を全て残したままの性転換をお勧めしますねえ♪ 最悪、どうしても不具合ということになれば亀頭を切除することも簡単ですからねぇ♪ 要は女性器のクリトリスの部分に男性の亀頭が皮に覆われて付いている、その下には尿道と膣が形成されているという具合です。 あと、最近は記述が進歩しましてね♪ 男性からの性転換でも濡れる膣を形成出来るんですよ。 まあ、原理は単純でしてね♪ 精液を蓄える睾丸を体内に埋め込むことで、カウパー支線液を膣に滲ませることが可能なんですよ。 勿論、精子は作れませんが、濡れるという女性特有の潤滑油の役目は果たせる訳です。 但し費用も相当嵩みましてね五百万から七百万は掛かるようですね♪ 勿論、国内では無理ですが… それともう一つ! 膣の中の皮膚としてペニスの性感の部分を伸ばして移植する方法です。 これなら膣にペニスを挿入された場合、若しくは指を入れられた場合、完全に今までの性感を維持できるというものです。 ペニスの性感の部分を薄く伸ばして膣の内側に貼り付けることで完璧な性感を得ることが出来るんですが、費用は千二百万くらいと聞いています。 膣で相手を感じながら体内の睾丸に蓄えたカウパー支線液で濡れることが出来る画期的な方法です♪ それなら今まで同様にエクスタシーに簡単に達しますよ♪ 下手な性転換して一生、死ぬまで性感の無い身体で過ごすなら、やはり最新の技術をお勧めしますねぇ♪ 今までの性転換では、精々、感じた気がする! 或いは単に雰囲気に浸るしか無いですからね~♪ 哀れなものですよ過去の患者さん達は… よく、インターネットなんかであるでしょう、気持ちいいとか感じるとか… あれは真っ赤な偽りなんです… 要は性転換して性感を失った人が、自分の惨めさを隠したい一心で誰かを仲間にしてやれ! そんな感覚なんでしょうねぇ… いわゆる誰かを陥れたいんでしょうねぇ~ でも、私が勧めるこの方法なら、そんな心配は一切いりませんよ♪」

 薫は会社を退職し、豊胸したクリニックを訪れていた。

 亀頭を全部残して性感をそのままに、女性(ほんもの)のように濡れる身体、或いはペニスの皮膚を移植して完璧な性感を得られる身体の話しを聞いた薫は、胸の奥をドキドキさせながら電車に揺られた。

「千二百万かぁ… 性感を失わずに濡れられるなんて… あと二百万か…」

 薫は小切手を現金に替え預金している七百万と、店で稼いだ三百万の他に三田に残りの二百万を相談してみようと思っていた。

 薫の女になりたいという思いは真実味を帯びてきていた。

『何を馬鹿なことを言ってるんだ! 少し頭を冷やせ! 今日から数日、休暇を出すからその間に本当に退職するかどうか決めろ! いいな!』

 薫は退職願いを出した日、上司に受理されなかったことを思い出していた。

 揺れる電車の中で性転換のことと、会社のことがグチャグチャに重なっていた。

『私は専門医ではないですが、薫さんのお顔なら女性と同じように整形できると思いますよ♪ 元々、男性顔というよりは女性顔ですからね♪』

 クリニックの医師の言葉が電車の窓に映る自分の顔に重なった。

「顔をこのままで保てば性転換したあとでもサラリーマンを続けられる… 普通に生活していける… 仮に菜々美が戻ったとしてもアイツに何を言わせるものでもないだろ… 全ては黙って失踪したアイツが悪いんだから…」

 薫は性転換する方向で考えをまとめ始めていた。

 そんな薫は翌日から吹っ切れたように会社へ行くと、退職を撤回してパリパリ働いた。

 そして三田も性転換の費用として二百万円を快く出してくれた。

 性転換を決めた薫は女装クラブに出向き、店に来なくなったという兵藤と工藤を案ずることなく毎晩のように金を稼いだ。

 薫は数日後、クリニックに出向き性転換の希望を伝え、外国の病院への紹介を取り付けてもらい同行してくれる支援団体の人とも会うことに漕ぎ付けた。

 会社を休む理由として、妻の菜々美らしい人の死体が外国で見つかったから見て欲しいと言って来たという嘘を申告した。

 子供を三田に預け日本を出て数日、薫は慣れぬ生活の違いと連日の検査で体重も数キロ落ちていた。

 そして一週間の検査と手続きが終わり、薫はようやく手術の日を迎えた。

 本来なら三ヶ月程度の検査を必要としたが事前に日本で検査していたことと時間がないと言う薫の要望が通った形となった。

 頑張ってと言う同行者の女性の言葉を最後に日本語は耳から遠ざかった。

 薫には一抹の不安もなかった。

 これで女になれるとの思いは薫を勇気付けた。

 辺りを見れば外国語が飛び交い、安い性転換とは違い高額な手術とあって大勢の医師と看護師たちが手術室を埋め尽くしていた。

 手術の開始から終るまで薫は眠ったままの状態だった。

 そして気付けば同行者からの成功という喜びの言葉が目の前にあった。

 完全に形成されるまで一年は掛かっていた大昔と違い、今では6週間ほどで形が整うとはいいながらも、今は見せられる状態ではないと説明された薫は、本来なら二週間で退院できたが、世界初の手術ということもあってベッドの中で三週間以上を過ごした。

 会社からと取っている休みは一ヵ月半、度々来る上司からの菜々美の生死についてには、菜々美では無かったとメールで答え、別の死体が出たのでと休暇の延長を申し出た。

 今回の手術では部分的な性感部位ではない、膣の中全体に薄く貼り伸ばされたペニスの材料を定着させるべく安全策をとったといえるようだ。

 一部切除して付けたクリトリス、尿道の安定と同時に膣内の安定も次々に確認され、体内に埋め込まれた睾丸とそこから分泌されるカウパー支線液は、少しの刺激で膣の内部をヌルヌルした液体が覆った。

 昔の性転換手術では考えられなかった最新の技術によって薫は刺激によって分泌する愛液手に入れた。

 それから数ヶ月…

 薫は背広にネクタイ姿で会社勤めを果たしながら子育てを両立している。

 隣家に住む三田は完全に女になった薫を労わり支えながらも、完治まで様子を見たいという薫に同意して見守っていた。

 服を一枚脱げば中身は完全な女性でありながら男の様相で会社勤めする薫も夜になれば一人の女だった。

 性転換してから乳房は本物同様にウットリする官能が備わり、元々強い快感を得ていた乳首は当時の十倍以上の快感を得られるようになっていた。

 一人ベッドにいれば女としての寂しさからか乳房に手が伸びることもシバシバ、自ら溢れさせた愛液を指に絡めクリトリスを刺激しては身悶えしながら膣の入口に指を滑らせる。

 三田に味見させてあげたいと思いながらもセックスに不安を抱える日々。

 毎朝、出勤のために履き替える白いパンティーも仕事を終えて戻れば薄っすらと縦になったシミを見て頬を紅く染める。

 
「ママァー!」

 前側を大きく開けるワンピースを着衣しているのを見た子供は4歳にして未だ薫に乳を強請った。

 スリップとブラの肩紐を外し乳房を晒して我が子に与える薫は母親そのもだった。

 乳離れの遅い子の乳首を噛む力は強く、時折悲痛な表情を見せる薫は不敏な我が子を思う父親だったようだ。

 官能とは程遠い乳離れしていない四歳児から受ける攻撃は、乳首を腫らして夜も眠れぬほどだった。

 女性ホルモンの投与で精神的にも肉体的にも不安定な日々を過ごしながらも薫は男として会社勤めを続けていた。

 そんな薫に数ヵ月後、転機が訪れた。

 薫はそろそろいい頃だと、三田に自分を味見させるべく心と身体の準備をしていた時のこと、三田の家内が突然の病に倒れ病死した。

 長年連れ添った奥さんを亡くした三田は生気を失ったようにボンヤリと喪主の席に座っていた。

 三田の二人の息子は訪れる人達に三田に並んで頭を下げていたが、薫に対して三田からの正式な紹介は何もなかった。

 薫は弔問を済ませると自宅へと戻るり子供を寝かし付け、衣裳部屋の洋服箪笥から取り出した妻の菜々美のワンピースの喪服に着替えた。

 台所のテーブルに出したコップ酒を煽り、三田の奥さんが病院で薫に耳打ちした言葉を考えていた。

『薫さん主人を… 主人を許してあげて下さい… 主人は嘘… 台所の床下… 許して…』

 黒いストッキングに包まれた足を組みなおして、奥さんが亡くなる直前、薫に途切れ途切れに話したことを考えていた。

「許すって… 嘘って何? 台所の下?」

 薫はコップに付いた自分の口紅をジッと見詰めていた。

 薫は奥さんの死の直前の言葉の意味を考えているうちに強い睡魔に襲われ、そのまま寝室へ行くと喪服のままベッドに倒れこんで眠ってしまった。

 そして深夜の二時過ぎ、薫は恐ろしい夢を見て目を覚ました。

「うわあああぁー!!」

 喪服の下が汗ビッショリになっていることに気づいた薫は、小さな灯りをつけるとベッドに腰掛けて喪服を脱いだ。

 ブラジャーも黒いスリップも下半身を覆っていた黒いパンティーストッキングも汗で濡れていた。

 恐ろしい夢だった。

 薫は思い出すのを嫌がるように何も考えないようにしてスリップとブラジャーを脱ぐと、慌てるようにパンティーストッキングを我が身から剥ぎ取った。

 小さな灯りの下で乳房を揺らせてパンティーを脱ぐと、着替えようのパンティーに履き替えノーブラのままで別の白いスリップで身を包んだ。

 汗で重くなった下着とストッキングを籠に入れるとベッドの上でタバコに火をつけた。

 三田の家の台所の下の土の中から腐って顔の肉が熔けている妻の菜々美が這い上がろうとしているのを、三田が棒で押し付けている夢だった。

 
『薫さん主人を… 主人を許してあげて下さい… 主人は嘘… 台所の床下… 許して…』

 何度も思い出す奥さんの最後の言葉に、薫は両手で耳を塞いで背中を丸めた。

 薫は震えていた。

「まさか… そんな… でももしかしたら三田さんが菜々美を…… そんなはずない!! 三田さんは私に性転換の費用まで援助してくれたのよ!!」

 両手で耳を塞いだまま動かなかった薫は、突然、考えを払拭すように立ち上がるとベッドシーツを替えた。

 
『引越してもう居ないが、裏の吉永さんの奥さんと菜々美ちゃんが抱き合っているのを見てしまったんじゃ…… 薫が会社へ出かけ暫くすると毎日のように吉永さんの奥さんが尋ねて来ては数時間、入り浸っていたのは薫も知らんじゃろ… 菜々美ちゃんと吉永の奥さんとはレズだったようじゃのおぅ… 夏の暑い日の午前十時ごろじゃったか、ワシがこの家の周りの雑草取りをしてやろうと来た時、家の中から女性二人の妖しい声が聞こえ、ワシはなんじゃろうと悪いとは思いながら中を…… 菜々美ちゃんと吉永さんの奥さんが股をすり合わせて裸でヨガって居たんじゃ… その時、偶然にも菜々美ちゃんとワシの目が合ってしまってのおぅ… すると、その日のうちに婆さんが買物に出かけると菜々美ちゃんが家に来て、ワシに自分を抱けと言う… ワシは口止めだなぁと思って断ったんじゃ… じゃが、老いたとはいえワシも男… 熟した女性がスカートを捲くり上げ中を見せたら、ワシは頭に血が上って菜々美ちゃんの身体に貪りついて味見していたんじゃ… そして菜々美ちゃんはエクスタシーに達した。 それきり一度も菜々美ちゃんとは何もなかったが、裏の吉永の奥さんは度々、菜々美ちゃんを味見しに来ていたようじゃな…』

 シーツを直し終えた薫は三田の言ってたことを思い出しベッドに再び腰を掛けた。

 薫は葛藤していた。

 三田から聞いた菜々美の話しと三田夫妻の善意。

 
 薫は三田の奥さんの通夜と葬儀と火葬まで隣家として立ち会った後、会いたくは無かったが兵藤と連絡を取り兵藤の屋敷に会いに行っていた。

 家政婦を何人も雇っている兵藤の屋敷は、門から駐車場まで距離をおいて、更に玄関まで徒歩で数分のところにある巨大な屋敷だった。

 石垣の塀で覆われた瓦屋根の武家屋敷風の建造物は付近の戸建ての家々を数百件も飲干すほどの広さだった。

 家政婦に迎えられて歩く廊下は長く清潔感のある家政婦は無言のまま、スーツスカートの薫の前を歩いた。

 そしてようやく着いた大きな観音開きのドアは開かれ、薫は中に通された。

 巨大なソファーに座る兵藤は、目の前のソファーに座る性転換と女性ホルモンの使用ですっかり女らしくなった薫に前のめりになり、目を血走らせたが自分を抑えるように薫の顔を見詰めた。

「隣家の家の床下を調べて欲しいの… 貴方なら出来るでしょう……」

 薫は黒いタイトスカートに覆われライトブラウンに包まれた足を膝組し、白いブラウスの襟元を直しながら黒いジャケットの裾を少し引いた。

 兵藤の目を見詰める薫は冷静だった。

 その薫に兵藤は一瞬、いつものお安い御用と言わんばかり笑みを浮かべたが、直ぐにその表情を引っ込めて口を開いた。

「ワシの願いも聞いてもらう。 それでいいなら力を貸そう……」

 兵藤は薫の足組している膝の辺りを見ていることを薫に気付かれると小さな咳払いをして誤魔化した。

「前のような縛りプレイでないなら…」

 ロングのカツラの垂れた前髪を軽く直した薫は落ち着いた口調で言い返した。

「決まったな♪」

 兵藤はニンマリ、いつもの嫌らしい顔つきになって、薫に飛び掛らんばかりに前のめりになった。

「此間はワシもガッツイておったらのおう♪ じゃが今度は違う! 完全に女になったお前を味わえるんじゃからのおぅ♪ と言うか、アレから暫くしてのおぅ、ワシは糖尿病というのに掛かってしまって今では全く起たんのじゃ、まぁ女遊びも出来ん身体になったとは言っても、お前の肌の匂いと味は賞味してみたいもんじゃて♪ まあ、せっかく女になったんじゃから本来ならワシの肉棒で攻めたいところじゃが、こればっかりはのおぅ♪」

 兵藤は薫に照れ臭そうに笑い飛ばしたものの、テーブルの上に置かれた内科の薬袋から取り出した薬を水で一気に喉に流し込んだ。

「何言ってるのお! ちゃんと勃起させてくれないとお! 私の身体はねえ!!」
 
 鼻息を荒くする薫は自分が受けた特別の手術の話を兵藤に前屈みになって説明した。

 
 兵藤は薫の力説に呆然とした。

 そんな薫に兵藤は突然、困った顔して見せ薫はそれを見て驚きの表情を見せた。

「おいおい、無理を言うでない♪ 無理なモノは無理じゃ♪ ワシは前立腺肥大とかで半立ちもせんのじゃ♪」

 兵藤は前屈みになった薫の驚いた顔を見て無念さを滲ませた。

「私は… 私は決心してここに来たんです! アナタに本物(おんな)としての処女を奪われる覚悟で!」
 
 薫はうろたえる兵藤を見て肩を落とした。

「じゃあ♪ こうしよう、一度と言わず二度! いや三度、ワシに味見させてくれんか♪ ワシをバター犬だと思うてくれてもいいぞ♪」

 兵藤は突然、不機嫌になった薫を見てオロオロし始めた。

「そんなぁ………」

 薫は全身の力が抜けたようにソファーにグッタリと背を凭れさせた。

 すると薫は突然、ソファーの上に両足を乗せて体育座りして見せた。

 何かを期待したかのように微笑する薫は両足を少し広げると、スカートの中を兵藤に見せた。

 それを見た兵藤は喉をゴクリと鳴らしてソファーから飛び降りると、薫のスカートの中を覗きながら両手をソファーに付けた。

 そんな兵藤を見た薫は一瞬、ニコっとして兵藤の反応を待った。

 兵藤は久し振りに嗅ぐ薫の匂いに顔をスカートの中に入れて、パンティーストッキング越しに鼻で深呼吸した。

 兵藤の両手は薫の尻を押える様にスカートの上に這わせられた。

 この薫の匂い作戦は数分間続けられた。

 だが、兵藤は鼻息を荒くするだけで着物の下のモモヒキを膨らませることはなかった。

 そして兵藤は突然薫から離れると床に両膝を付いて自分の顔の前で両手を合わせた。

「すまん!! 薫! この通りじゃ! ワシのは役には起たん! 味見だけで勘弁してくれえ! この通りじゃ!」

 兵藤は顔を真っ赤にして不機嫌な薫に平謝りを繰り返した。

 薫は成功報酬として調べてくれたあかつきには三度の味見を約束して屋敷を離れた。

 事前に兵藤が糖尿病に掛かっている情報を仕入れていた薫は、兵藤に引け目を感じさせながらの有利な立場での交渉が終ったことを喜んだ。


 そして兵藤は薫のスカートの中の恥かしい匂いを嗅いで、モンモンと眠れぬ夜を過ごすことになったようだ。

 

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