薫・5話

【五話】

「ママァー! ママ! ママ!」

 夜泣きしてグズル我が子に妻である菜々美の代わりに乳を与える薫は母性愛でいっぱいだった。

 時折、乳首を噛む我が子に耐え、歯を食いしばる薫は哀れなほど母親だった。

 出るはずのない薫の乳を貪る子供もまた、一日中会えない肉親との再会に安心感をとり戻す日々の暮らし。

 失踪した菜々美を案じながらも乳を吸う我が子の不敏さに遠くを見詰める薫。

 薫の乳首は子供が夜泣きする度に痛々しいほど腫れた。

 そんな生活の中で、会社から戻り我が子を引き取れば自宅で素早く女になり家事をこなす薫は誰が見ても楽しげだろうか。

 妻の菜々美が居た頃は飲みすぎることもあった薫だったが、失踪して以来、子供の面倒を見ることが加わり今では酒に酔いしれることもなくなっていた。

 酒に酔えない薫は女になることで男の業を捨てていたかも知れない。

 寂しさから妻の衣類に心を奪われ気付けばそれを身につけて癒していた。

 乳を子供にせがまれどうすればいいか解からずに与えた自らの乳。

 胸が欲しいと豊胸を望み、悩んでいるうちに性転換をも視野に入れている薫は、自分を欲しいと言う兵藤に処女を捧げてもいいとさえ思い始めた。

 その反面、バーで話した工藤俊介にも心を奪われて行った。

 深夜、ベッドの上で俊介を思いながらする自慰の回数は兵藤を思いながらする自慰の回数を上回っていた。

 妻の菜々美の失踪からエレクトしなくなったペニスの奥でするドライオーガズムは、薫から射精を奪うことで薫をいっそう女に近づけた。

 そんな薫はとあるクリニックを尋ねていた。


「ええ、男性でも豊胸は可能ですよ♪ で、実際にはどの程度の豊胸ほ希望していますか?」

 白衣に包まれた銀縁メガネの医師は椅子に座る薫に柔らかい視線を重ねた。

「気持ちとしてはCとかBなんですが、会社勤めもありますからAカップくらいでと思っているんですが…」

 女装していない男装のままでの問診に臨む薫は医師の質問に淡々と答えた。

「では、ちょっと身体を拝見します。 上半身脱いで診察台に仰向けでお願いします。」

 医師は薫に診察台に横になるよう指示すると、若い女性看護師が診察台の枕を直した。

「これがAカップです… そしてこれがBカップでこちらがCカップ… そうですねぇ、会社勤めされているならAですかねぇ… これなら普通に隠せますからねぇ。」

 医師は仰向けの薫の胸に擬似乳房を乗せて説明をした。

 一通りの診察を終えた薫は医師から重要説明を受け、自宅で納得の上で書類にサインをして持参するよう指示して診察を終えた、診察中に医師が薫の胸に当てた擬似乳房の大きさを思い出しながら薫は神妙な顔をして帰宅の途に付いた。

 豊胸の予算は入れるパーツの種類によって変動することが解かったが、薫はより自然な胸を希望したことで全ての経費を入れて80万円だった。

 頭金を入れて残りをローンでと薫は豊胸に向けて考えを纏めようとしが、電車の中で楽しげに騒ぐ女子高生たちの声に薫は鼻で一笑いすると窓の外に豊胸した自分を想像した。

 
「えぇ、乳首の大きさも今の技術で大きく出来ますし、乳輪も形成が可能ですから安心して下さい♪ 乳房に合っ大きさに出来ますよ♪」

 医師の言葉を何度も思い出す薫は時折、窓の外に笑みを投げた。

 豊胸相談でクリニックを訪れてからの薫は会社から真っ直ぐに帰宅せずに、女装クラブに出入しては10万、20万と稼ぎながら検査のためにクリニックに通う日々を送った。

 そして女装クラブでは兵藤が必ず薫を隣りに置いて楽しい時間を過ごさせたが、薫は自分を遠くから見る工藤俊介の視線にモドカシさを感じていた。

「私のこと好きなら好きって言えばいいのに! そしたら私だって!」

 返り際に何度も俊介に言いかける薫だった。

 それから一週間後のある日、薫は手術を受けるために会社から有給休暇を取り、出張と称して子供を隣家に預け手術のためにクリニックへと入院した。

 不安と期待が過ぎる中での豊胸手術は成功し、医師や看護師の拍手に薫は感無量とばかりに涙を頬に伝えた。

「いいですね♪ 今後はこれらを厳重に守って下さいね♪ そうしないと大変なことになりますからね♪」

 看護師は術後の薫に愛らしい笑みを見せながら聞かせた。


 ・ お薬は決められた容量をまもり、きっちり内服してください。

 ・ 術後2日間は外出せずにゆっくりとすごしましょう。

 ・ 固定はきめられた期間はずさないようにしましょう。 (3日後にはずしてください)

 ・ 施術部位に内出血(青タン)が見られる場合がありますが、心配ありません。また、重力の関係で腹部から下肢付近にみられる場合がありますが、自然に(2週間位)で目立たなくなります。

 ・ 胸囲および腹部付近にむくみがでますが、これも2週間ぐらいで自然とひいてきます。また、むくみのため、体重が一時的に1~2キロ増える方がいますが、全く心配ありません。

 ・ 軽い運動は2週間後から激しい運動は1ヶ月控えて下さい。

 ・ 飲酒・たばこは1ヶ月は控えたほうがいいでしょう。傷の治りを遅くします。

 ・ シャワーは下半身のみ当日から可能です。全身シャワーは4日目より可。 入浴は7日目より可

 ・ ブラジャーは6ヶ月は禁止ですが、クリニック指定のものであれば固定をはずした日より使用可能。

 術後、薫は四日目で退院した。

 身体のバランスが上手く取れずに苦労したが、退院する頃には看護師の指導で何とか普通に歩けるようになった薫は、一週間ぶりに我が家に帰宅すると、空港で買って来た土産を持って隣家へと出かけた。

 薫の胸にはクリニック指定のブラジャーが装着され胸の揺れを押さえ、それを背広が覆い隠していた。

 
「申し訳ないのですが、こんなに懐いてしまって… もし御嫌でなければもう少しこの子を預からせてくれませんか? 私達のような老夫婦も孫が出来たように……」

 子供を引き取りに行った薫は思いもよらない隣家からの提案に驚きの表情を隠せなかった。

 手を差し伸べた薫から逃げるように後退りして老夫婦の影に隠れる我が子に薫は愕然とした。

「そうですか… ではあと数日、宜しくお願いします……」

 薫は落ち込んだ様子を老夫婦に見せながら自宅に入ると、胸に注意しながらソファーに腰掛け大きな溜息をした。

 窓にカーテンを掛け下着姿になった薫は風呂場へ移動すると、クリニックで受けた指導通りに身体を洗った。

 酒もタバコもやれない薫はチョコレートを口に入れると、衣裳部屋へ移動し数日振りにパンティーを付けクリニック指定のブラの上からスリップを纏った。

 事前にブラを隠すために購入した厚めの男用のシャツを見て出社した時のことを想像しながら、伸縮するハウスドレスを下着の上から着込んだ。

 久々に下半身に履いたパンティーは薫に窮屈さを与えたが、衣裳部屋から居間へ戻る頃には直ぐに慣れたようだ。

 
「半年はこのブラか…… 性転換はまだ先だな~」

 ソファーに腰掛けた薫はテーブルに有ったペンを口にくわえてタバコを吸う真似をした。

「豊胸手術は無地に成功して只今自宅に帰還したよー♪」

 薫は兵藤と工藤と竹崎に同じ文面のメールを送信した。

「カオちゃんおめでとう♪ カオさんおめでとう♪ カオーオメー♪」

 兵藤、工藤と竹崎の順に祝福のメールが薫を喜ばせた。

 
 薫は三人と同時にメールで手術の話しに華を咲かせ、一時間が経過した頃、一通のメールが飛び込んで来た。

 それは薫が失踪した妻の消息の捜索を依頼していた探偵事務所からだった。

「奥様らしき女性を福岡で見かけたという情報を得ました。 再び捜索を続行しますが委細は後ほどメールします。」

 メールを見た薫は豊胸した胸をみながら複雑な心境に顔を曇らせた。

「菜々美が戻って来てこの胸のことを知ったらどうなるんだろう……」

 薫は携帯をテーブルに置く手を俄かに震わせた。

 そして薫は頻繁にメールをよこす兵頭、工藤、竹崎をそのままにして疲れた身体を労わるように、寝室のベッドに身体を横たえた。

 寝るにはまだ早い夜の八時、クリニックに指導された通りの胸を庇う姿勢にした薫は枕元に擬似ペニスとジェルを置いた。

「一週間は胸は弄っちゃダメですからねぇ♪」

 薫は看護師の言葉を脳裏に過ぎらせながら乳首に触れたい気持ちをグッと堪えた。

 そんな薫だったが胸の奥でムラムラする気持ちに我慢出来ないとばかりにパンティーの上からペニスの先っぽを指で擦った。

 一瞬大きく全身をビクつかせると、ブラに包まれた胸が大きく揺れた。

 目の前にあって触ることの出来ない乳房に薫は唇を軽く噛み、何度もパンティーから中のペニスを擦り続けた。

「どうせ起たないしこのままで……」

 薫はパンティーの上からペニスを擦り続けた。

 プルプルと太ももが揺れるた。

「ぁんっ! ぅあんっ! ぁぁあああんっ!」

 身体を揺らさないように気遣えば気遣うほど、薫はロープで身体を縛られたように欲求が増大していった。

「兵藤さんが私の…… ぁんっ! あああああん…」
 
 薫は兵藤にペニスを貪られる想像に駆られていた。

「早くカオちゃんのオッパイを食べたい! 私も! 私も早く兵藤さんに食べられたい!!」

 想像の中の兵藤は薫に苦しい心の内を叫び、薫もまた兵藤に切ない想いを叫んだ。

 薫は兵藤の手に例えた自分の手で自らパンティーを剥ぎ取ると、下半身をベッドの上に晒した。

 そして勃起することのない愛液の溢れたペニスの先っぽを右手の親指でニチャニチャと何度も滑らせ官能に浸ると、自らの身体をドライオーガズムへと導き始めた。

「だめえぇ! イッちゃだめえぇ! まだよ! まだ兵藤さんが私に入ってない!」

 薫は慌てて枕元の擬似ペニスにジェルを塗りつけると右手に逆に握り閉めた擬似ペニスを肛門に挿入した。

「あん… ヌプッ! あひぃ! ヌプヌプヌプ! あああああぅ!」

 薫は擬似ペニスを自らの中へ挿入し指の第一関節ほどのところで前後を繰り返すと無意識にヨガリ声を発した。

 そして尻を少しクイッと持ち上げた薫は擬似ペニスを小刻みに前後を繰り返しながら奥へ奥へと挿入した。

 激しい便意が薫を襲い耐えられずに抜き取ろうと思いながらも、兵藤が自分を抱いてくれていると自分に言い聞かせその違和感に耐え忍んだ。

「我慢するのよ! こんなんで泣いてたら兵藤さんに処女なんか捧げられない! 薫! 頑張って!」

 薫は自分に言い聞かせて擬似ペニスを前後させた。

 数分後、薫は激しい便意と違和感に負け擬似ペニスを抜き取り、悔しさに涙を滲ませながらトイレに駆け込んだ。

 薫はペニスの先っぽに白く乾いた自分の愛液を見ながら、糞に塗れた擬似ペニスを手洗い用の水で何度も洗いトイレを流し、再び寝室に戻りペニスの先っぽを弄り身体の興奮を誘ったがすっかり冷め切った性欲は元には戻らなかった。

 そんな薫は残りの有給休暇を自宅で過ごすべく一人で自宅に篭り二十四時間のフルタイム女装子に徹していたが、酒もタバコもやれない辛さから一人モンモンと時間を過ごしていた。

 その間、何度もアナルセックスの練習に励み、自宅で始めてから三日目の夜にようやく三十分間耐えることに成功した。

 アナルセックスの前に浣腸して中の汚物(クソ)を出しきってからすることをネットで学んだ薫は、普段の激しい便意を感じることなく三十分が一時間でも耐えられることを知った。

 
 薫は女装クラブに足を運んでいた。

「カオちゃん♪ 久し振り~♪」

 両手を広げてボックス席で薫と待ち合わせていた兵藤は満面の笑みで迎えた。

 兵藤はいつもと変わらぬ高価なスーツ姿を薫に披露し、照明にキラキラと靴を光らせ足組するとタバコに火を点けようとして、禁煙している薫のためにそれをやめた。

 ソファーに腰掛けた薫は、黒いストッキングに包まれた足を組むと黒いタイトスカートの裾を軽く直した。

 そして兵藤は薫の着ていたクリーム色のブラウスの膨らみを見て俄かに嬉しそうに口元を緩めた。

「おめでとうカオちゃん♪ これはワシからのプレゼント♪ 気に入ってくれるといいんだけどな♪」
 
 薫は手渡されたエルメスのレディス腕時計を見て瞼をパチパチさせ目を丸くさせた。

「こんな高価な物… 頂けません…」

 薫は渡された物を兵藤へ押し返すと、兵藤は薫を心配そうに見詰めた。

「だって! 私… まだ何も兵藤さんに……」

 薫は困り顔して兵藤に言葉を言いかけた。

「カオちゃん! ワシはね! こんな物でカオちゃんを釣ろうなんて思ってないよ。 これはカオちゃんの記念日の印だからね、貰ってくれないかな……」

 薫は兵藤の真剣な眼差しに軽く頷いて兵藤に視線を重ねた。

「私! ホントは今直ぐにでも兵藤さんに! でも… まだ時間が必要で… もう少し待って下さい! 身体が… 落ち着くまで……」

 薫は胸の安定期が半年であることを兵藤に伝えると申し訳無さそうに俯いた。

 そんな薫を見て兵藤はニッコリと微笑むと膝に乗せられた薫の手をポンポンと軽く叩いて重ねると、薫の真横へと席を移動した。

 薫は間近に座った兵藤に胸の奥をドキドキと高鳴らせ、頬を紅色に染めた。

「カオちゃん♪ ワシは待ってるよ! カオちゃんからOKが出るまで半年でも一年でもね♪ クイッ!」

 兵藤は薫に小声で笑いかけると薫の肩に腕を回して自身へと引き寄せた。

 薫は突然のことに全身を小刻みに震わせた。

「カオちゃん、可愛いなぁ♪ 許されるならこのまま持ち帰って食べてしまいたいくらいだ♪」

 兵藤は肩を抱き寄せても拒絶しない薫に御機嫌口調を飛ばした。

 薫はカウンターにいる工藤俊介の突き刺さるような視線を感じていた。

「カオちゃん、これはワシの経営している会社の名刺じゃ♪ ヘットハンティングするつもりではないが、カオちゃんさえ良ければワシのところで秘書として働いて貰ってもいいんだが♪ 勿論、他の社員達には女性と言うことにしとけば問題なかろう♪ 考えてみてくれればいいんだが♪ スゥー…」

 兵藤は薫に思いも依らぬ提案をしたあと、初めて足組みしている薫の左足の膝に手を滑らせた。

「ドキッ! ドキドキドキドキドキ…」

 ストッキング越しに感じた兵藤の手の温もりが薫に伝わった瞬間、薫は胸の奥を更にドキドキと高鳴らせた。

「カオちゃん…… スゥー……」

 兵藤の手が薫の左の膝から太もも方向へと少し流れると薫は緊張したように身体を強張らせた。

 
 すると突然の甲高い声が耳に届いた。

「あらあぁ~♪ 兵藤さん、お久し振り~♪ あらあら! 今度はこんな可愛い子を味見しちゃうのおぅ~♪ 兵藤さんてば手が早いんだからあ~♪」

 兵藤の手が薫のスカートの中に入ろうとした瞬間、突然、兵藤に掛けられた声に驚いて兵藤は手を引っ込めてしまった。

 声に驚いた薫が声の方に視線を向けると、前に竹崎と親しげに離していた古株の明美さんだった。

 明美は薫をシッシッと追い立てるように手を振って席を移動させると、薫と兵藤の間に自身を置いて兵藤に談笑を持ちかけた。

 そして薫が視線を感じてカウンターに視線を移すと、中に居た工藤俊介が笑っているのが見えた。

 工藤は薫に手招きして呼び寄せた。

「もう帰りな! カマトトが遊ぶ時間は過ぎてるよ!」

 薫がカウンターに近付くと、俊介は不機嫌な表情を見せて薫を子ども扱いして帰るように言い放った。

「あとでメールするから!」

 薫は俊介が自分と兵藤に焼餅を焼いて明美さんをけしかけたのだと思い、俊介に不機嫌な表情を見せるとバーから出た。

 個室に戻った薫はブラウスを脱ぎ捨てると工藤にメールした。

「何で邪魔したの!! それに私を子供扱いするなんて最低!」

 薫は思っていることを率直に俊介にブツけた。

 すると俊介からの返信は直ぐに来た。

「男としては大人だろうけど! 女としては子供だろ!! 違うか! カンマトトのくせに!」

 俊介もまた思っていることを率直にブツけて来た。

「もういいよ! 俊介のバカ!! バサッ!」

 薫はメールを送信すると携帯の電源を落としてスカートに八つ当たりするように脱ぎ捨てた。

 スリップ姿になった薫はソファーにドスッと座ると足組みして兵藤からのタッチを思い出した。

 生まれて初めて女として男性に膝を撫でられた薫は撫でられた膝を凝視して残念そうな顔をした。

「もう少しで兵藤さんに太ももを触って貰えたのに! 俊介ったら!!」

 薫は兵藤の手の動きを真似て自分の左太ももに右手を這わして遠くに視線を移すと動かなくなった。

 薫はパンティーの内側を濡らした。

 夜の十一時、店を出た薫はタクシーで自宅へ戻ると携帯を覗いた。

 俊介からのメールが一通届いていた。

「兵藤さんに一度でも肌を許したら直ぐに捨てられる、店には捨てられて来なくなった子が大勢いるんだ。 よく考えないとダメだよ。 いいね!」

 俊介からのメールは焼餅というより忠告に近かった。

 だが薫は俊介の忠告を無視するように翌日の夜も兵藤と待ち合わせてクラブへと出かけた。

 その兵藤はいつもはカウンターの傍のボックス席だったのに、その日、兵藤が居たのはカウンターから一番遠い造花が生い茂る、通称、店では隠れ蓑と呼ばれるシートだった。

 奥の隠れ蓑から手を振って薫を呼んだ兵藤は白いスーツスカートの薫に笑顔を見せた。


「ゴメンゴメン♪ 見た通り満席だったもんだから、ここしか空いてなくてね♪ ここでいいかい♪」
 
 兵藤は片手を伸ばしてボックス席を見渡すと薫を席に付かせ自らも席に付いた。

 そんな兵藤は酒を断っている薫に合わせるように自らも酒を飲まずに紅茶を飲んでいた。

 そして兵藤はいつものようにダンディーに薫を笑わせる話しを連発し続け丁度一時間が経過した頃だった。

「今日はねぇ、カオちゃんにこれをプレゼントしちゃうぞぉ~♪ これもカオちゃんには良く似合うぞおぉ~♪」

 薫の目の前に出された箱を開けるとそこにはヴィトンのバックが入っていた。
 

「今日は! 黙って受け取ってもらうからねぇ~♪」

 兵藤は薫の方に身体を向けると首をロクロックビのように左右に曲げながら両手を薫の肩に乗せ、自らを薫の左横に移動した。

 薫は黙って小さく頷くと両手を膝の上に乗せた。

 そんな薫を見て口元を緩ませた兵藤は辺りを軽く見渡すと、兵藤は薫の肩に右腕を回して自らに引き寄せた。

 薫の胸の奥はドキドキと高鳴った。

 そして突然、兵藤は抱き寄せた薫の左側から薫の左の耳たぶに唇でタッチした。

「ドキッ!! ドキドキドキドキドキ…」

 薫の胸の奥の高鳴りは耳たぶへの軽いタッチで最高潮に達した。

「スゥー スリスリスリ…」

 兵藤の左手が突然、薫の太ももに這わせられた。

 薫は目をキョロキョロさせ全身を強張らせるように緊張させた。

 兵藤は暗がりの中でそんな薫を見て口元をニヤニヤさせて楽しむように、その手をストッキング越しに滑らせた。

「ビクンッ! ぁん! ぅぐぅんっ!」

 薫は兵藤の手に全身をビク付かせ出そうになる喘ぎ声を喉の奥で押し殺し、無意識に軽く開いた両足を閉じようとすると兵藤はそれを止めた。


 薫は兵藤に左の太ももを自由にさせた……

 その兵藤は恥かしさと驚きに動けなくなった薫の顔を覗き込んでは口元をニヤニヤさせた。

 薫は兵藤の手が動く度に身体をビクつかせ、漏れそうな喘ぎ声を必死に抑えた。

 そして兵藤の手は薫のスカートの中を滑り回り、薫の内モモへも容赦なく自らの体温を伝えたると薫は再び無意識に開いた両足を閉じようとして、兵藤にそれを止められた。

「ぁんっ! ぅぐうぅ! ぁっ! ぁっ! やぁ… あんっ! ソコは… ぁんっ! ソコはだめえぇ… 兵藤さん! ソコは…… はうっ! はぁん! はぁ…あっ… はひぃ!」

 兵藤の手はとどまることを忘れたかのように薫のスカートの中を自由に滑り回ると、薫の恥かしい部分の上で移動を止めスリスリスリと何度も執拗に薫を辱めた。

 無意識に両足を閉じようとする薫の両足を止めて足を開かせる兵藤は鼻息を荒くしていた。

「お願い… ソコは… ソコは許して… 兵藤! ぁんっ! さん… ぁんっ!」

 薫は途切れる声で兵藤に哀願し続けた。

 立ち上がろうとしても肩を抑えられている上に激しい快感に身体が強張って足腰に力が入らなかった。

 薫は激しい快感で崩れそうになる身体を必死に右手で支えていた。

 そんな兵藤の手と指は薫のペニスの上に磁石のようにくっ付いて離れることはなかった。

 そして兵藤の右手は薫の肩から右腰に移され兵藤は更に自分へと薫を引き寄せると、スカートの中に入れた左手の爪を薫の下半身を覆っているパンティーストッキングに引っ掛けて伝線させた。

 ビリビリビリとゆっくりと音を立てて伝線するパンストに薫は顔を引き攣らせ身体を強張らせた。

「ぃや! やめてえぇ… 兵藤さん! やめてえぇ! 怖い! 怖いの!」

 パンティーストッキングを破る兵藤に声を細める薫は泣きそうな声を発した。

 そして薫の下半身を包むパンストはパンティーの辺りを丸く破かれていたことを薫は知らず、兵藤の手は首を軽く仰け反らせ怖さに涙を潤ませる薫を見ることなくペニスをパンティーの上から触りまくった。

 薫はパンティーの内側をグッショリと濡らし、その愛液は表面にまで滲み出ていた。

 兵藤はパンティーに滲み出た薫の愛液をパンティーの上からヌルヌルと手と指でぬめらせると、時折その指を口に入れてチュパチュパ貪った。

 そして感高まった兵藤は薫の身体の向きを自らの方へ少しズラスと、両手で薫がペニスをガードしていたナイロン製のスキャンティーを真ん中から力任せに引き破った。

「グイッ! ビリッ! ビリッ! ビリビリビリッ!!」

 薫はスカートの中でスキャンティーが縦に破かれる感覚を目を丸くして身体を強張らせた。

 六十代とは到底思えない腕力に薫は恐怖さえ覚えた。

 そして薫がペニスに外の空気を感じてヒヤッとした瞬間!

「兵藤様♪ この店はそういう趣旨の店ではございません… 御慎み下さい……」

 突然、聞こえた工藤の声に薫は潤ませた涙を頬に伝えた。

 工藤の声に我に返った兵藤は辺りを見回すと腕時計をチラッと見て、逃げるように無言で立ち去った。

「ェッグ… ヒックッ… ヒック… 怖かったよおおぉぉぉー!!」

 薫は蝶ネクタイ姿の工藤俊介に大粒の涙を零して泣き出してしがみついた。

 工藤はそんな薫をしっかりと抱き締め続けた。

「もうバカなことすんなよ! 今度やったらもう知らないからね! 男は女にとってオオカミだってこと忘れんじゃないよ!!」

 工藤に連れられ個室に戻った薫は工藤から散々説教された。

「解かった… もうしない… バサッ! キヤァー!」

 薫は説教し終えた工藤の前でタイトスカートを脱いだ瞬間、突然工藤の黄色い悲鳴に耳を押さえた。

 静まり返った個室…

 両手で顔を覆う工藤俊介。

 それを息を飲んでビックリした顔して見詰める薫。

 ハッとした表情を見せた工藤俊介。

 薫は顔をひきつらせた。

 
「何で男なのに男の物を見て悲鳴上げるの?」

 そういう顔して目を丸くする薫と視線を交えた工藤俊介の顔は恥かしさに真っ赤に染まっていた。

「あ… あ… ああ… こ… これはその… 余り見たことないもんだから… その… あの… ソレを… つい…」

 タイトスカートを脱いだ薫の股間にスキャンティーを破られブラブラする一物に視線を合わせまいとする工藤俊介は声を上ずらせた。

「あ? ああ… そっ… そっかぁ… ああ… うん… あっ! あああー!? あっ!」

 薫も工藤に合わせるように声を上ずらせ、ブラブラする一物を床に落としたタイトスカートで慌てて隠した。

 静まり返った個室…

「俊介… 今なら私のこと味見してもいいよ…… その… お礼っていうか… 私のこと食べてもいいよ…」

 薫はタイトスカートで前を覆いながら腰を少し屈めて恥かしそうに俊介に上目遣いをすると、ソファーに腰を下ろしながら囁いた。

「ゴクッ!」

 工藤は突然の薫の申し出に喉を鳴らしソファーに座る薫に近付いて個室の明かりを落とした。

「カオ…… かっぽっ…」

 薫の前を隠すタイトスカートを取り除いた工藤はソファーの背凭れを倒してベッドにすると、薫の両足を膝立てさせ抱きかかえるように薫のペニスを口に含んだ。

 
 薫のペニスを口に含んだ工藤は吸い付いて舌をペニスに絡みつけて味わうように回した。
 

「あん… あひぃ! あああああぅ! あああああーーーん! あんあんあん!!」

 暗闇の個室に激しい薫のヨガリ声が響き渡り狂おしく身悶えしてソファーベッドを軋ませた。


 薫は工藤からの激しい愛撫に久々にエレクトさせた肉棒から体内に溜まっていた肉汁を溢れさせた。

 首を仰け反らせ左右に振りながら腰をガクガクさせ、身体をクネクネさせるとブラに包まれたAカップの乳房がプルプルと大きく揺れた。

 工藤は荒い吐息を立て薫のペニスに貪り付き激しく身悶えする薫を両手がガッシリと抑えて放さなかった。

 肉棒化したペニスの先っぽに、裏側にと工藤のネットリとした舌が絡みつき、薫のエレクトした肉棒は工藤の舌に紫色に変色していった。

 薫の下半身を覆う兵藤に破られたパンティーストッキングに工藤の手が蜘蛛のように徘徊をし始めると、薫は太ももの両側からの官能に再び肉棒から愛液を溢れさせた。

 ゴクゴクと薫の愛液を喉に流し込む工藤は片手で自らを裸にすると、自らを包むパンティー1枚になった。

 女気の無い無地の白いパンティーを身につけている工藤は陰部から愛液を溢れさせその内側を濡らし始めた。

 伝線したパンティーストッキングに包まれた薫の両太ももに工藤の両手が蜘蛛のように徘徊し、同時に工藤の口はエレクトした薫の肉棒を痛いほどの吸引力で吸った。

 薫は喘ぎ悶えながら生まれて初めての他人からの愛撫(あじみ)に涙を流した。

 自分の手を滑らせるのとは雲泥に違う快感は薫の身体の奥の細胞の一つ一つを重苦しく官能させた。

 太ももを徘徊する工藤の蜘蛛(て)は太ももの外側と内側を無作為に歩き回り、軽く持ち上げた尻にまでその感触を官能に変えさせた。

 初めはくすぐったかったウエストはいつの間にか壮絶な官能で薫の身体を小刻みに震えさせ、工藤の舌は肉棒から玉袋へ移り玉を覆う皮を口の中に取り込むとチュパチュパと音を立ててしゃぶった。

 玉袋の皮に滑らされる工藤の舌は袋のシワの中にまでそのネットリ感を伝え、時折、零れそうになる玉袋の味が混ざった自らの唾液をすする工藤の口からの音が、薫の官能に追い討ちをかけた。

 持ち上げられた薫の両足は宙を舞い押し広げられた肛門に工藤の舌先が触れた瞬間、薫は声を裏返させ笑い声とも喘ぎ声とも付かない呻き声を奏でた。

「あひっ! あひっ! あひっ! あひっ! あひっ!」

 両足を宙でバタ付かせ身体を左右に振り声を震わせる薫の両手は床のクッションフロアーに爪が刺さった。

「あひっ! あひっ! あひっ! あひっ! あひっ!」

 そして宙で両足をバタつかせる薫をガッシリと押さえつける工藤はその舌先を薫の肛門に押し付け無作為に滑らせた。

「ぅあっ! あひっ! あああああーーーんっ!! ぅんっ!!」

 力の抜けた声と力の入った声を交互に時に重ねて奏でる薫の両足はダラリとその膝を曲げた。

 肛門を無作為に滑る工藤の押し付けられた舌から唾液が滑り落ち薫の肛門を包み、そのヌルヌルした唾液は肛門から溢れ後転姿勢の薫の尻の割目を伝わり裏玉へと滑り落ちると、工藤は慌ててその唾液を舐め取った。

 尻の割目を後ろ側から滑り上がる工藤の舌に薫は頭の中を真白にして放たれるべき声と吐息を体内へと引き戻した。

 スルッ! スルスルスルッ!

 突然、工藤は薫から兵藤に破られたパンティーを、そしてズタズタになったパンティーストッキングを剥ぎ取った。

「ぁあああああーんっ!! ぅぁあああんっ!」

 薫は脱がされる愛欲の被写体である我が身に喜びの叫びを奏でた。

「あん… ピッチャッ! あひぃ! ニュルゥッ! あああああぅ!」

 そして薫の両足を持ち上げ再び始まった薫の肉棒への工藤の愛の証しは、シャブリついたまま首を前後に忙しく振った。

 薫は肉棒を銜えられての前後に両足を持ち上げられたまま首を仰け反らせ動かなくなった。

 工藤は荒い吐息を立て無心になって首を前後に振った。

「ぅぐううぅぅ!」

 肉棒から押し寄せる快感は薫に唇を噛ませ、工藤はテンポよく首を振り続けた。

「はぐうぅ! ぅぐうう!」

 肉棒の奥から押し寄せる波に薫はその度に声にならない唸り声を喉の奥へと押し戻した。

 そして薫から切なく重苦しい呼びかけが工藤に発せられた。

「俊ちゃーーーん!! イクウゥー! イッちゃううぅぅー!! いっ! 痛ああぁーい!! 痛ああーーいっ!!」

 重圧的な苦しげな声が首を振る工藤に届くと工藤は突然、肉棒に歯を立てた。

 薫は焼けるような強い痛みに首を左右に振った。

 工藤は少し縮んだ肉棒を再び蘇らせるべく首を前後に振った。

 
「ぁんっ! ぁぁぁぁんっ! ぅっん!」

 再び薫から切ない声が辺りに漂った。

 工藤は薫を終焉へと近付けると歯を立てそして縮むと再び肉棒を刺激した。

 そしてそれを何度も繰り返されると、追い詰められたように薫はドンドン逃げ場を失い、最後は泣き出しそうな声を工藤に聞かせた。

 
「薫… はぁはぁはぁはぁ… お前可愛いな… はふはふはぁはぁはふはふはぁはぁ…」

 荒い吐息をしながら工藤の嬉しそうな声が薫に届いた。

「お願い!! もう虐めないでえぇ! 俊ちゃん! もう薫のこと虐めないでえぇ!」

 肉棒を銜えたまま話した工藤に薫は首を持ち上げて哀願した。

 工藤は薫の泣きそうな声を聞くと物凄い勢いで肉棒を銜えて首を前後させた。

 やがて薫は全身をプルプルと小刻みに震わせ尻をギュッ!と、閉めた。

 押し上げられた両足は硬直し両足の爪先はギュンッと内側に閉じられた。

 
「イクッ! イクイクイクイクウウゥー! イッちゃう!! お願い! お願い! イカせてえぇー! 俊! イカせてえぇ… お願いよ……」

 薫は肉棒を銜えて前後する工藤に悲痛な声を放った。

「あうっ! あああああーん!!! 痛い… ぁんっ! 痛い… ぅんっ! 痛い…」

、薫は体内に溜まっていた愛欲から生まれた我が子を吐き出すように工藤の口の中に撃ち放った。

 そして工藤もまた薫から放たれた苦味のあるドロドロした液体を口の中で舌を使って転がしながら喉に流しこんだ。

 ゼリーのようにプルプルした水分を失った薫の精液は咽るような濃厚な苦味を工藤の口の中に広げた。

 ゴクッゴクッと飲み辛そうにしながらも工藤は嫌がることなく薫の精液を喉に少しずつ流し込んだ。

 水分を失った薫の精液は薫の肉棒の中の管に圧力を掛け薫に射精の痛みを伴わせた。

 肉棒の付け根はその圧力でゴリゴリと管を強張らせた。

 薫はドクドクと精液が体内から押し出される度にオーガズムと痛みを交互に繰り返した。

 陰毛に覆われた肉棒の付け根に硬直した管が浮き上がっていた。

 工藤は肉棒から口の中に送り込まれるドロドロした固体のような精液に舌を絡ませ、それを潤滑油のように肉棒の裏側に滑らせた。

「あひっ! あひっ! あひっ! あひっ! あひっーー!」

 射精直後の肉棒は超敏感になりその気絶するような強い刺激は薫を失神直前へと追い詰めた。

 押し上げられ硬直した両足に突然の電気が走り薫の意思に関係なく両足はバタついた。

 工藤の舌は最大限に身悶えする薫を容赦なく追い詰めた。

 

 そして薫は失神した……


「おいっ! 薫! 起きろ! ペチペチペチ! いつまで寝てんだ! 次ぎ行くぞ! カポッ! チュパチュッポチュッパ…」

 工藤は失神して終焉した薫の頬を軽く叩いて目を覚まさせると、精液を出し切ってグッタリしたペニスを再び自らの口に銜えた。

「ちゅぱちゅぱちゅぼちゅぼ… ぁんっ! ぅあっ! ぁぁぁあんっ!」

 突然の工藤のフェラチオにペニスから強い官能が薫の脳裏を直撃し、薫に恥かしい声を奏でさせた。

 グッタリしていた薫は途端に全身を硬直させヨガリ声を連発させた。

「いいか! 薫! 僕の言うことをよく聞け! 僕はこれからお前の上に跨って騎乗位になる… そしてお前の肉棒を僕の中に取り込むから! お前は僕に入れられていると頭の中で念じるんだ… 僕はお前の中に入っていると念じる… そして僕はお前の上で動く… いいな!」

 工藤はエレクトした薫の肉棒を前にして虚ろな眼差しの薫に言い聞かせると薫に跨った。

「ズブリユウゥー! ヌプリッ! ヌプヌプヌプ! はうぅ!! ぅあっ! ァンッ! ぁんっ! ァァアアアアン! あああああんっ!」

 工藤は薫に跨ると愛液の滴る自らの割目の穴に薫の肉棒を挿入すると、狂おしいほどのヨガリ声を上げて腰をゆっくりと下げ始めた。

 工藤の柔らかい生肉の中に肉棒が入った瞬間、薫のヨガリ声は工藤から発したヨガリ声に重なった。

 

「薫! いいか! 自分が入れられていることを想像してえぇ! ぁんっ! 僕は薫に入れてることを想像するからあ!! ぁぁあんっ! いい! 解かったあぁ!」

 工藤は薫の肉棒を自らの体内に取り込むと下で喘ぎ声を上げる薫に言い放ち腰を上下させた。

 薫は工藤に肉棒を入れられているという想像に徹し、工藤は薫に肉棒を入れているという想像に徹し腰を上下させた。

 二人の身悶えとヨガリ声は狭い個室の中で重なりあい、工藤の身体の内側から溢れて流れ落ちる愛沖は下で肉棒を起てる薫にまで達した。

 薫と工藤の二人は延々と男と女を潜在意識の中で入れ替えてセックスを続けた。

 そして工藤はオーガズムに達し薫も少し遅れてエクスタシーに達した。

 工藤は男として薫は女としてソレゾレの終焉を迎えた。

 俊介に抱かれる薫は溜め込んでいた物を全て吐き出したように安堵の表情を浮かべてニッコリと微笑んだ。

 

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック